『一瞬で判断する力 私が宇宙飛行士として磨いた7つのスキル』を読んだ

転職先の入社前面談の際に教えてもらった本で、その場でポチってすぐ読んでみました。

宇宙飛行士である若田光一さんが書かれた本です。

若田さんは日本人初のコマンダー(船長)を務めた方で、宇宙に旅立つ前の訓練での出来事や、実際に国際宇宙ステーション(ISS)でコマンダーとして仕事をされた体験などを交えながら、一瞬で判断するために必要なことを7つのキーワード(テーマ)を用いて書かれています。

ここがおもしろい!

1. 一般の会社や組織で起きそうな問題は宇宙飛行士の方たちにも起きるということ

宇宙飛行士の仕事っていうのは全く何をするか知らなかったので、漠然とすごいことをしているんだろうな、めちゃめちゃ能力が高い人たちだから自然と上手くいきそうだよな、とどこか別の次元の人たちのように個人的に思っていました。

ただ本を読み進めると、会社や組織で起こる問題は宇宙飛行士やその関係者の間にも起きるし、僕たちと同じようにどう解決するか頭を悩ませるということです。

例えば、コマンダーとして仕事をしていると、地上管制官と人たちとISSの宇宙飛行士の間で意見が食い違うことがやはりあるそうです。こういう問題は、普段の人間関係の間でも起こり得ることなので、その場合はどういう風に解決したのかというのは自分の体験を思い出しながら読むと大変面白かったです。

2. 不確定要素への対応

宇宙での作業は危険なことが多いので、事前にマニュアル・ドキュメントをしっかり書いて読み込むのだそうです。

また、想定外にも対応できるようにできるだけ不確定要素を減らしたり、もし複合的なトラブルが発生しても解決できるように「たぶん」や「〜ではないだろうか」で判断せず、予知できるレベルにまで体制を整えるそうです。

このような仕事のやり方はしっかり見習いたいのと同時に、エンジニアがサービスをリリースするときにどこか似ているなと感じました。

アプリケーションの設定は大丈夫か?、メモリの容量は適切か?、リクエストがこれぐらい来ると予測しているが、スパイクにも耐えられるような体制にもしておくか等、不確定要素に対しての対応を考えるというのは参考になるなと読んでいて思いました。

3. 学びについて

第2章の「学ぶ」の内容がものすごく良かったので少しだけ記載します。 宇宙飛行士の方たちは、わからないこと・曖昧なことがをそのままにすると死に直結するため、ここまで徹底的にやられているのだと思います。

新しい環境に飛び込んだときは質問しづらい気持ちになったりすると思います。また、歳を取ると分からないことに対して今更質問するのが恥ずかしいとか、まぁいいやという気持ちになってくるのかもしれません。

そんな気持ちになったときは、この本の内容を思い出して積極的に発言・質問していきたいなと思いました。

  • 愚かな質問はない
    • 「理解したつもり」が危ない
  • 質問は、自らの理解を深めるためでもある
  • 自分が感じた疑問点をそのまま残しておいてはいけない
  • 何よりも「質問をする」という行為自体が、自分の頭で考え、「理解できている部分」と「そうでない部分」を明確に分別することで生まれ出るのも事実である
  • 「分からないまま」に甘んじない
  • あやふやな記憶は、トラブルのもととなる
  • 急いで仕事をススメなければならないときに忘れてはならないのは、「何のためにやっているか」を思い出すこと
  • 長い目で見ると、速く理解することよりも重要になるのは、長い時間をかけてでも、キチンと正しく理解すること
    • 本当の意味でその知識を咀嚼していなければ意味がない
    • 中途半端な身につけ方をしていれば、結局またいつか学び直さなければならなくなる
  • 失敗を隠さず、失敗に対して常に鋭敏にアンテナを張り、失敗から何かを学ぶ姿勢が重要
  • 同じ失敗を繰り返さない
    • 一回目の失敗は、ときには寛容に受け入れてもらっても、二回目に同じ失敗をすると信頼は失墜する
    • 自分が犯した失敗を真摯に受け止め、その理由をきちんと分析し、とるべき最善の対応策を検討して習得することを怠らなければ、今後、類似した状況で同じような失敗を繰り返す可能性は少なくなる

本の内容について

最初、タイトル通り「一瞬で判断する力」について書かれていたのかと思っていましたが、ざっくり以下のような感じです。

  • 仕事への向き合う姿勢
  • 学び方
  • ものごとを前に進める方法
  • チームワーク
  • 信頼関係の構築方法
  • 決断する方法
  • 恐怖への向き合い方
  • リーダーシップ

勘違いしてほしくないのが、方法論が書かれているわけではなく、若田さんの実体験とこう行動したのが良かったというのが書かれています。

なので、ここから自分ならどうするのか、自分なりに咀嚼する必要がある本だと感じています。

どのような人におすすめか?

新しい環境に飛び込む方、マネジメントをされている方、人間関係で悩まれている方などでしょうか。

最後に

久しぶりにおもしろくて一気読みしてしまいました。

このブログでおもしろさを伝えきれないと思うので、ぜひ手にとって読んでみてください!